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松生町の家 |
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所在地 |
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兵庫県西宮市 |
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主要用途 |
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戸建住宅(2世帯住宅) |
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階数 |
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地上2階 |
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主構造 |
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鉄筋コンクリート壁式構造、
地盤改良+直接基礎(ベタ基礎) |
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敷地面積 |
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334.86m2 |
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建築面積 |
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133.37m2 |
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延床面積 |
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261.04m2 |
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建物高さ |
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8,050mm |
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設計 |
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TEO architects : 小澤丈夫 小澤エリ子 |
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構造 |
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桃李舎 : 桝田洋子 田村沙映 |
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設備設計 |
: |
設備企画AKEDO : 明渡篤 |
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電気設計 |
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長谷川設備設計 : 長谷川正美 |
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照明計画 |
: |
LIGHT PLAN : 山本博之 |
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施工 |
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山本工務店 : 山本徳文 吉岡芳朗 |
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設計期間 |
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2004年1月-2004年06月 |
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施工期間 |
: |
2004年7月-2005年3月 |
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木々の美しい夙川公園西側の閑静な住宅街にたつ2世帯住宅である。敷地は、前面道路から20m程奥まったところに位置するいわゆる旗竿型の形状で、東、南、北側の三方を隣接する住宅に囲まれ、西側は南北方向に走る電車の線路に面している。2階レベルにおいて、夙川公園に向かって北東方向の視線の抜けを期待できるほかは、周囲の建物に囲われ、外からの視線が気になる敷地である。
出入りのしやすい1階を親世帯、2階を子世帯が暮らす2世帯住宅とすること、1階を床の段差がないバリアフリーとすること、2世帯がそれぞれ独立した生活を営みながら両世帯で共有できる場をつくること、将来にわたってお互いの気配を感じながら助けあって生活できるような家とすること、などが施主のもっていたイメージであった。
このような条件のもとで、建物の平面形状をコの字型とし、内側の中庭に向かって開くような家を基本のイメージとした。中庭の床仕上げは、家族や兄弟が集まった時などに、家の中心として親世帯のリビングを延長して使えるように、1階の床との間に段差のないフラットな木製デッキ敷きとした。また、階段や通路など、家の中の主な動線をこの中庭を囲むように配置し、さらに、主な居室の配置、窓の取り方、家具のレイアウトなどの決定にあたって、中庭に向かって視界が開けるように工夫することで、ここに住む一人一人の意識が、中庭とそのまわりに展開する家族の日常生活に対して、自然に向けられているような状態をつくりだすように意図した。家の中心である中庭をぐるっと囲むような形で、ここに住む家族全員の生活シーンが展開しているような家をつくりたいと考えたのある。
敷地の形状が不整形であったが、限られた敷地をできるだけ有効に使うため、建物の南、西、北側の外周壁を各敷地境界線に並行に配置することにした。そのため中庭まわりに、直角ではなく微妙な角度に振れた壁面や窓面ができている箇所があるが、これらが透視図技法的な効果を発揮し、中庭の限られた空間に広がりを感じさせることになった。
敷地の四周に対しては、通風を確保する他に、特に開くことで有利になる要因はないと判断した。また、西側の線路を通過する電車の騒音や振動に対して、建物を防御することが必要と思われた。そのため、構造形式には鉄筋コンクリート造を採用し、建物の南、西、北面を耐震構造壁とした。建物の外周部となるこれらの壁に地震力を負担させることで、中庭に面した部分には鉛直荷重だけを負担させた2本の丸柱のみを配置することができ、外周に対して閉じるのと対照的に、中庭に向かって建物の開放性を高めることができる。比較的開放的な東側には中庭に面して壁をつくらず、木製ルーバーの引戸や樹木を設置することによって通風や採光を確保しながら、近隣の視線を遮断できるようにした。南、西、北側の外壁には主に通風、換気のための開口を設けたが、採光については、中庭に面した開口と3箇所に設けたトップライトと吹抜によって確保した。
また、外断熱を施すことによって、コンクリート躯体を外部から保護し耐久性を高めるとともに、コンクリートの蓄熱効果によって空調コストの低減を図ろうとしている。フラットな屋根は、緑化を施したルーフテラスとなっており、屋上に上がると、周囲を囲う家の高さから抜け出す開放感とともに、中庭のこじんまりとしたスケールとは対照的に、北側の甲山や東側の夙川公園の松林などの風景が、水平方向に広がる外部空間を楽しむことができる。
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