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大阪の中心部である中之島の近くに、昭和初期に建てられた眼科医院の内装改修である。この建物は、建設当初より現在と同じ医院に所有され現在に至っており、これまで第2次大戦による全焼被害を経験するなど、同医院と共に長い年月を生きぬいてきた。所有者は、長年にわたり愛着をもってこの建物を使用し続けてきたが、近年、設備や内装の老朽化のため改装の必要に迫られていた。そこで、今回医院の主機能を1階から2階に移す構想をきっかけに、1階と2階の内装と設備を全面的にやり直すことになった。建物を使用しながら改装する必要があったため、1階2階における既存の内装、設備機器や配管を注意深く解体・撤去する作業と並行して、新規の工事が進められるように設計を行った。また、所有者の思い入れのある窓枠、ドア、照明などの部品や部分的な壁面をできるだけ再利用し、これまでの建物の雰囲気を残すよう心がけた。新しく設けた間仕切壁については、上部をランマとして天井面と離し、建物の構造体である床スラブ・梁型・柱型を広い範囲で連続的に見せ、さらにそのような構成を視覚的に強調する間接照明を設けた。これによって、限られた内部空間に視覚的な広がりを持たせる効果を意図した。
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