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六甲の山荘改築 |
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六甲山頂付近の別荘地にたつ山荘の改築である。
建物は木造で築後約70年が経過しており、その間、戦災や阪神大震災などにも見舞われている。その都度、補修や増改築を重ね今の姿に至っているが、近年、建物や設備の老朽化がすすみ、引き続き使用していくためには大幅に手を入れる必要があった。敷地が国立公園内にあるため新築の許認可取得が難しい点、予算的な制約、仕上げは傷んでいるものの建物の骨組みは比較的しっかりとしていること、クライアントの建物に対する想いなどから、建物の約半分を解体、改築し、新旧の部分を一体化してひとつの建物に再生することとなった。
改築前の建物は、部屋の配置や動線など、特に水廻りが、現代の家族構成や生活に適応しにくいものとなっていた。そのため、玄関、廊下、居間、寝室などは既存の建物をそのまま使用し、食堂、台所、浴室、便所、家事スペースなど、機能的にまとめ直した方がよいと思われる部分については、コンパクトな形に改築することとした。熱源はオール電化とし、電気温水機、電磁コンロ、壁設置型の電気放熱器などの設備を整えている。
改修前の屋根が、その複雑な屋根形態から、漏水を起こしたり、落葉の清掃が困難であるなど問題があったため、今回は全体が入隅のない単純な形に近づくような平面形状とし、その上を大屋根で覆うことにした。しかし、既存の屋根が寄せ棟の組み合わせとなっていたことから、解体は棟ごとに行なう必要があり、そのために、新旧が取り合う部分では、新しい空間の上部に古い棟のかたちが残ることになった。その上に新しい屋根をかけるために、古い棟の梁や束、母屋材などをそのまま利用し、屋根を延長したり、古い梁の上に、新しい束を立てるなど、小屋組の上に新たな小屋組をつくる作業が現場で行われた。上部に見えるこのような構造体が、力強い表現力をもっているため、改築部分のほとんどでは、天井を貼らずに、このような新旧の屋根組をあらわして見せる仕上げとした。内壁や平天井は白色系の調湿塗料による仕上げとし、また、クライアントの古い建物に対する想いに応え、既設の建具や照明器具などを可能な限り再利用した。
既存の建物は、筋交いなどを用いず、土壁を用いた粘りのある耐震壁をバランスよく配置した構造となっていた。そのため、構造的に一体となる新旧部分のバランスを整えながら、改築部分にも粘りのある耐震性能をもたせるために、土壁と同等の性能をもつ耐震壁を乾式工法にて施工できる「荒壁パネル」を使用した間仕切り壁を設けた。これによって、強い地震時に、特定の部分に地震力が集中することなく、建物全体で力を吸収する安定した構造体ができることを期待した。
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所在地 |
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兵庫県神戸市 |
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主要用途 |
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戸建住宅(別荘)
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階数 |
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地上1階 |
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主構造 |
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木造
布基礎 |
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敷地面積 |
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6,175.68m2 |
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建築面積 |
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244.59m2 |
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延床面積 |
: |
234.83m2 |
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設計 |
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TEO architects : 小澤丈夫 小澤エリ子
今津建設 : 橋本健二 |
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構造監修 |
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桃李舎 : 桝田洋子 |
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施工 |
: |
今津建設 : 中植茂一
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設計期間 |
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2003年5月-2003年8月 |
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施工期間 |
: |
2003年8月-2004年4月 |
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