インターフェイス
国立国会図書館関西館コンペティション案(1996)
郊外の丘陵地帯を切り開いてつくられた敷地は、まだ周辺の密度が薄い新興地である。ここに周辺の環境とは無関係な、膨大な量の蔵書、情報、管理施設、一般利用者のための閲覧施設などをもつ国会図書館を新たにつくることが設計条件であった。このコンペ時点では、施設内における人と情報との接触のあり方が主に問われていて、周辺環境との関係は、あとから追従してくることが期待されているのではないかと思われた。そこで、ここでは、主題を内部空間においた新しい図書館を考えることにした。
大量の閉架式書庫や情報管理施設など一般にはクローズされたボリュームと、そこにアクセスするために来訪者に開放されたオープンな空間のボリューム。図書館において、これら2者は補完関係をなしており、両者が一体化してひとつとなって、はじめて活用できるものとなる。まず、このような2者の関係を、2つのボリュームを凹凸状にかみあわせてひとかたまりとなる、抽象的なボリュームモデルにリンクさせることを考えた。そして2者の境界である3次元曲面を、書庫のボリュームを支えるメッシュ状の鉄骨構造体として、全体をかたちづくる骨組みとした。このモデルでは、階数の変化に応じて水平切断面上の両者の面積比と、境界線のかたちが段階的に変化する。すなわち、来訪者は建物内部のどこにいても、閲覧室やホールなど開放されたスペースと書庫のスペースが、常に表裏一体でありながら、さまざまな関係をもっていることを、空間的に感じられるような構成になっている。これは、来訪者と図書や情報とのインターフェイスを、内部空間の新しい風景(新しいライブラリースケープ)として、建築化しようとしたひとつの試みである。
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